蘇悉地羯羅経とは
蘇悉地羯羅経は、天台密教における基本経典のひとつです。附属図書館貴重書庫に所蔵されているものはそのうちの巻上(1巻)で、平安時代中期・10世紀頃に書写されたものです。奥書として、延喜9(909)年、承暦3(1079)年、保安2(1121)年の3つが記されています。
本文部分には白・朱・墨による複数の点があります。うち、白点は延喜時代の奥書に対応するものと考えられます。初期の仏典には黄麻紙・黄穀紙が使用されることが多く、黄色い地の上でも比較的はっきりと見ることができるようにという意図で白い訓点が用いられたものと思われます。(「学びの世界」図録より)。
白点のテスト撮影・作成
原資料上のこの白点は、光の加減・角度によっては非常に識別しがたく、これまで当電子図書館で行なってきた通常の撮影・作成方法では、デジタル画像上で再現できないであろうことが予想されます。そこで当電子情報掛では、専門業者チームの御協力のもと、この資料についてのテスト撮影・作成を行ないました。
- 白点の剥落を防ぐため、通常かぶせて撮影するガラス板を使用しない。これにより生じる紙面の凹凸が文字・白点の判別に同影響するかをチェックする。
- 光源の位置・角度を変えて撮影する。これにより、白点がどのようにフィルム上に写るか、紙面の凹凸による陰がどのように生じるかをチェックする。
- デジタル画像について、白色の部分のみを極度に強調した補正を施す。これにより、原資料上の白点がどこまで明瞭に再現できるかをチェックする。
テスト結果 (サンプル画像)
テスト作成の結果、以下のようなことが判りました。
- 光源の位置が高いと、紙面の凹凸による影響はほとんどない(陰が生じない)。光源の位置が低いと、紙面凹凸の陰が生じ、文字・白点の判読に影響が出る。
- 撮影現場で原資料を見る以上に非常にはっきりと、白点が写りこんでいる。通常の明るい部屋で肉眼で識別できる程度のものは、相当の補正をかければ、画像上でも確認することができる。但し、それ以上のものを補正によって再現させることは難しい。
- 白色部分を強調した補正のため、虫食部分も同じように強調されてしまい、白点と虫食部分との判別がつきにくくなってしまっている。
- 白色部分を強調しかつ微妙な点・色の差を明瞭に再現するため、JPEGへの圧縮率を下げると、画像サイズが極端に大きくなる。
テスト作成されたサンプル画像はこちら(画像計2.05MB)。
今後の取り組み方
今後、以下の要領でさらにテストを重ねることを考えています。
- フィルムではなくデジタルカメラで撮影する。これにより、さまざまな条件下での撮影結果を、現像を待たずにその場で確認する。
- 虫食部分と白点とが判別できるよう、資料の下に濃い色の紙・布を敷く。
- 高精細な画像をWWW上で公開できるよう、画像を行単位・文字単位で分割する。
- 今回の撮影箇所は白点が比較的はっきりと識別できる部分であったため、他の箇所についての検討が必要。
テストが実行できれば、その結果を随時ご報告いたします。
ご意見・ご助言等ありましたら 電子情報掛 までお願い致します。
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