御 挨 拶




   わが国の説話文学で最大といわれる「今昔物語集」が、平成三年十月、京都吉田に在住

  の鈴鹿紀氏より附属図書館に寄贈されました。

   これがいわゆる「鈴鹿本『今昔物語集』」といわれるものであります。

   中世初期の写本の写本と伝えられる「鈴鹿本」は後世の諸本の元となる、祖本の位置に

  あることはすでに定説となっております。

   「今昔物語集」全三十一巻のうち附属図書館の所蔵する九巻(鈴鹿本)は、平成三年度

  より蟲蝕等の修補を終え、本年六月、国宝に指定されました。

   附属図書館恒例の秋季展示会は本年度、この「鈴鹿本『今昔物語集』」とその関連史料

  の他、本館の所蔵する重要文化財も一堂に展示し広く一般に公開するものです。

   この重要文化財のなかには「万葉集(尼崎本)」、「古今集注」、近衛家の家司として

  代々朝廷の記録文書を司った平松家の集書の中の「兵範記」、「範国記」、「知信記」、

  また高等教育機関「大学寮」の明経博士を世襲した清原家に伝えられた儒学の教義記録を

  中心とする清家文庫の中の「周礼疏」、「孝経述義」、「中庸」等の古写本が含まれます。

   図書館では、こうした先覚より受け継がれてきた重要な文化遺産を学術研究のために提

  供すると共に、これらの史料を後世に伝えていく責務があると考えます。

   この展示会では、本年一月に附属図書館が開設したインターネットのホームページにお

  いても電子版「今昔物語集」を併せて公開いたします。

   今回の展示会を通じて大学附属図書館へのご理解をいただければこの上もない喜びであ

  ります。



   平成八年十一月



                              京都大学附属図書館長



                                    長 尾   真


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