物語の玉手箱
室町時代へタイムスリップ
古い絵に新しいぬりえもやってみよう
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京都大学附属図書館 「お伽草子」 展示会への招待
京都大学附属図書館では、この秋、創立百周年を記念して、公開展示会「お伽草子―物語の玉手箱―」を開きます。「物語の玉手箱」を開けて室町時代へタイムスリップしてみませんか。若いみなさんにぜひご覧いただきたいと思います。
浦島太郎
みなさんは浦島太郎のはなしを聞いたことがあるでしょう。助けた亀につれられて竜宮城に行き、帰りにもらった玉手箱をふるさとの浜辺で開けてみると、中からむらさきのけむりが三すじ、24〜5才の太郎は、たちまちおじいさんに変身してしまいました。
はちかづき
はちかづきはどうですか。母親が死ぬ前に、なぜかまだ小さい娘に大きな鉢を頭にかぶせたのです。鉢のために家を出された娘は、よその家の風呂たきなど苦労しながら大きくなり、やがて位の高い貴族の四男とむすばれ、頭の鉢がぱっと落ちると、夫もその両親らも驚く美しさ。そして鉢の中には黄金(こがね)、銀(しろがね)の宝ものがいっぱい、十二ひとえの小袖や袴(はかま)さえ入っていました。
物くさ太郎
物くさ太郎もよく知られていますね。毎日寝てくらし、人がくれたもちが道にころがりおちても自分でひろおうとしない。ところがみやこの労役に村からおくり出されたかれは、大変身、まめに働き、さて国に帰る前に妻を得ようと、清水寺の門の前に立って美しい姫を待ち、何度逃げられても、和歌の力でついに獲得(かくとく)してしまいます。
美しい奈良絵本
このような日本昔話のルーツの一つが「お伽草子」なのです。今から700年〜400年前の、室町時代から江戸時代のはじめにかけてつくられた短い物語で、公家や歌人、平家・源氏の武家、僧侶、商人などが主人公のものや、きつねや猫、からすなどの動物、いろんな怪物も活躍するはなしなど400種類以上も伝わっています。その中には、奈良絵本といって美しい色彩のさしえのついた本もたくさんあります。
タイムトンネルで室町時代へ
今度、京都大学附属図書館では、京都大学にあるこれらの「お伽草子」を約100編も集めて展示会を開きます。室町時代の子どもは、つづらの箱いっぱいに「お伽草子」をもらって、夢中で読んだり、読んでもらったりしたことでしょうが、ぜひ現代の若いみなさんにも見ていただきたいと思います。「物語の玉手箱」というタイムトンネルをぬけて、みんなで室町時代に行ってみましょう。
古い絵に新しい「ぬりえ」
そして見るだけでなく、この「お伽草子」で遊んでみてください。「お伽草子」という名前のもとになったシリーズが、江戸時代に、大阪の本屋さんから出版されました。ここには、上に紹介した物語のほかにも、文正さうし、小町草子、和泉式部、猿源氏草紙、一寸法師、酒てん童子など全部で23編がまとめられており、それぞれにさし絵が描かれています。
そこでこのさし絵にみなさんが自由に、今の気持ちで色をつけてみてはどうでしょう。。そしてむかしの絵とくらべてみませんか。
色は、絵の具でも、クレパスや色鉛筆でも、できる人はパソコンでもかまいません。古い絵に新しい「ぬりえ」をこころみてください。展示会場の「お伽草子で遊ぶ」コーナーに飾ります。
会場でもパソコン着彩
また展示期間中の第4土曜日(11月27日)と日曜日(11月28日)には、会場にパソコン2台をおいて、みなさんにもさし絵に色をつけてもらいます。係員が手伝いますから、ぜひ挑戦(ちょうせん)してみてください。