平成14年度京都大学附属図書館公開展示会


学びの世界 ――中国文化と日本――

 二〇〇二年三月に、本学所蔵の『幼学指南鈔』の二巻が重要文化財の指定を受けたのを機会に、日本人が、中国文化を受容し、消化してゆくさまを展示することとなった。
 日本では、遣隋使以来、中国文化を輸入し、応用してゆくことに大きな努力を払ってきた。中国文化の輸入は、奈良から平安初期にかけての律令制度・旧仏教の輸入の時代と、鎌倉から室町時代にかけての宋元文化・禅宗文化の輸入の二つの時期が大きな波となっている。第一の時代では、中国文化を見本として、社会体制の骨格を作り上げ、仏教に対する信仰も定着した。第二の時代では、主として禅宗を通じて中国文化を輸入するが、渡来僧・入宋僧・入元僧も多かったので、中国文化をそのまま日本に導入しようとした。しかし、宋元文化もやはり日本的変容を受け、五山文化へと開花していった。禅僧たちは、文化的にも経済的にも、大きな影響力をもつようになった。俗世界の商人や町衆との交流も進み、新しい文化が広がってゆき、日本的と称される文化の大半はこの時期にできあがる。
 禅僧や公家達が、講義や著作を通じて、多くの人材を育成し、出版文化の興隆時期とも重なって、知識層を更に拡大させた。この時期の末には、深い知識をもった知識層が飛躍的に拡大し、江戸時代の文化隆盛の基盤がしっかり整えられていた。
 日本人が、いつも新しい文化を柔軟に受け入れ、日本人に合った形に修正し、日本文化を形作っていった軌跡を確認していただければ幸いである。

 



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